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2007年2月 9日 (金曜日)

第9回(4)

           

                  9-4

 昼過ぎまで降っていた雨は上がり雲の間から空が除いていた.
オレンジ色に染まった雲が下校時間を告げている。
「そろそろかな・・・。」
一日の授業を終わらした本条は教室から自分以外の人気が無くなるのをまって、化学準備室へ向かった。

 本条は誰もいない準備室にドアを開け、電気をつけると、パソコンの電源を入れてから、椅子に座った。
そうして、さっき来る途中で買った缶のウーロン茶のプルトップを開けると一口飲んだ。

何分か待っていると、準備室の扉が開き二人目のメンバーが現れた。
「よう、おはよう。」
もう夕方なのに、おはようと言ったのは、相手に対してのからかいが入っていた。
「・・・おはよう・・・」
昼間学校に来ていない朝奈は、本条の言葉に少しムッとしたが、自業自得だと思い、付き合って答えた。

 普通の高校生なら、そこでフォローがはいったり、笑いにつなげたりなど、何らかの反応が有るところだが、
二人は特別笑いもせず残りのメンバーが来るのを沈黙の空気の中待っていた。

 何も話さないまま時間が過ぎていった。ふと、気づくと、朝奈が廊下の方を見ていた。
足音が聞こえた。本条はやっと来たかと思ったが、その足音が二人分な事に気付いた。

 毎日、夕方授業が終わって1時間後、ほとんどの生徒が帰った後本条と朝奈と麻十城はこんお化学準備室に集まっていた。
まあ、毎日集まるほど、話は進んでいないのであったが、全員何となく集まるようになっていた。
そしてたいがい最後に来るのが保健医の麻十城だった。下校の見回りの最後に此処によるのが習慣になっていた。
今日もそろそろ来ても良い時間だった。だが、麻十城かと思われる足音はもう1人別の人間を連れていた。
本条と朝奈は険しい顔をしながら、準備室の入り口を見ていた。

 そして、足音はドアの前で止まると次に扉が開く音が部屋の中に響いた。
「・・・ど、どうしたんだ・・・?」
 二人の熱い視線で向かい入れられた麻十城は、一瞬部屋の中に入るのを戸惑ってしまった。
驚いて反応の無い二人を放って置いて麻十城は準備室の中へ入ってきた。そして、その後ろに付くように見たことのない女性も一緒に入ってきた。
「・・・セ、センセ・・・?」
理解できないと言ったような表情で本条は初めてみる女性が誰なのかを、言葉少なく質問した。

 麻十城はなぜこの二人がこんな様子なのかをやっと理解出来たかの様に、細かく首を前後に振ると、後ろにいた女性を自分の隣に来させた。
「俺の大学の知り合いで真田恭子さん。この地域の観察医をしてるんだ。」

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